ホームレスになった ★★★☆


ホームレスになった—大都会を漂う
金子雅臣著
ちくま文庫
★★★☆

東京都労働経済局労政部の役人である著者が、職務上かかわりあうホームレス予備軍について書いた本。
ホームレスになった人々よりも、これからホームレスになりそうな人々が登場する。
著者によると、「経済的に困ったからということですぐさま路上生活をはじめることはない」という。「周囲の誰からの支えも期待できなくなった時は」「路上で生活をはじめるしかなくなってしまう」。「なんらかの理由で家族との信頼関係を失い、友人との友情関係が崩壊した時、つまり人間関係を失ってしまった時には、必ずしも経済的な事情を抱えていなくとも、ただちに路上生活をはじめるための十分な条件となる」らしい。「リストラによる失業や働けない事情を抱えた個人が支えられ、再度、生活を立て直していくためのバックボーン」(家庭や地域のネットワーク)がないために、路上生活を余儀なくされるのが、ホームレスであると分析している。確かに、この本に登場するホームレスの人々は、その分析が当てはまる。また、前に読んだ『ホームレス日記』の記述とも矛盾しない。
ホームレスに不随する社会問題の分析は鋭いが、本全体としては少し散漫な印象がある。ただ散漫ではあるが、文章がうまく具体例が多いので、非常に読みやすい。
また、ホームレスおよびホームレス予備軍に対する著者の視線が優しく、非常に心地良い。

投稿日: 火曜日 - 10 月 04, 2005 05:37 午後          


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