医者にウツは治せない ★★☆


医者にウツは治せない
織田淳太郎著
光文社新書
★★☆

鬱病を経験したスポーツ・ライターが書いた、鬱病にまつわるあれこれ。
薬漬けの鬱病治療を批判し、自身で実践している鬱病療法(一種の呼吸法だが)を紹介している。もちろん、著者自身や周りの人々の鬱病記もある。薬漬けの鬱病治療の批判やスポーツによる鬱病改善の記述はなかなか興味深いが、途中から少しオカルトが入ったりしてついて行けなくなった。
私は鬱病を経験したことがないのであまり自信を持って言えないが、薬による鬱病治療はあくまでも一時的な対処療法だろうとは思う。どんな病気であっても、根本的に原因を取り除かなければ、完全な治癒は望めない。先日読んだ『マンガお手軽躁うつ病講座』では、著者はまさしく薬漬け状態で、あげくにかなり奇天烈な生活を送っていた。そしてそれを正当化し、経験のない人間にはしょせんわからないだろうという姿勢を貫いていた。確かにそうではあるが、少なくとも、何となくこれはおかしいとかこうすべきではないかとかいうことは誰でも(経験のない人間でも)感じられる。薬を一度に何十個も服用するなんて絶対におかしいと思う。憂鬱を取り除く薬(本来の治療薬だな)、その副作用を抑える薬、さらにその薬の副作用を抑える薬(おいおい)などをまとめて飲む(飲ませる)なんてのは、常軌を逸している。悪い冗談だとしか思えない。
私は、先ほども言ったように鬱病には幸いまだなっていないが、仕事が忙しかったときに体調が悪くなって精神状態も不安定になったことはある。で、それがきっかけでジョギングを始めた。そのときに、身体と精神の状態がなんとなく変わった気がした。身体と精神が調和してきて、状態が好転してきたと感じた(それでいろいろな人に有酸素運動を勧めているのだが)。また、最近肉食を止めたことで、精神状態が非常に安定したことも経験した(こちらはかなり劇的な変化だった)。
だから、確信を持って言うことはもちろんできないが、鬱病の原因を取り除いた上で、定期的に有酸素運動をするようにして、食事の内容を改善すれば、鬱病治療には効果があるんじゃないかと感じていた。この本では、スポーツ(ソフトボールのケースが取り上げられてる)によって鬱病治療を実践し一定の効果を上げている病院が取り上げられているが、この部分を読んでいて「やっぱり」と思ったのはそういういきさつからだ。それで、こういうことが全編を通じて述べられていることを期待して読んだのだが、後半は内容が散漫になり、もう読むのが苦痛になった。
鬱病は、経験者以外なかなか口を出せないところがある(『マンガお手軽躁うつ病講座』でもしつこくそう書いているし)。であるから、スポーツによる鬱病改善を経験的に述べるような本を期待していたわけだ、この本に。論点はなかなか良く、説得力もあるが、通読すべき本ではないと感じた。

投稿日: 土曜日 - 10 月 29, 2005 11:04 午前          


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