足尾銅山 よみがえる森 ★★★☆


足尾銅山 よみがえる森
NHK総合 NHKスペシャル
★★★☆

明治期に銅山が開かれ、その硝酸ガスのために破壊された足尾の広大な森。
その後、銅鉱が閉山になり、後には、岩山と化した赤茶けた広大な土地が残された。
今から50年前に、地元民を中心に、この岩山に緑を復活させようとさまざまな試みがなされた。そして、現在、その60%に林が、残りの30%にも草原が復活しており、ツキノワグマ、鹿、カモシカなど、さまざまな動物も戻ってきている。
このドキュメンタリーでは、その過程を丹念に追い、成功の要因や問題点などを、よみがえった自然とあわせて紹介している。
森の復旧のための方法論が今から見ても適切で、非常に先進的であると感心させられた。

内容:岩場になった山は、土壌が流されており、木が生育できない。そのままではまったく植林は不可能であるため、当初は種や腐葉土を固めた土のブロックを丹念に敷いていった。しかしこれは大雨で流され成功しなかった。その後、ガーゼの袋に入れるという方法で改良し、これが一応の成功を収め、数年後に草地が形成されていった。次の段階として、エンジュなど、窒素固定できるマメ科の落葉植物の植林を始めた。木が生育してくると、葉を落とすことで腐葉土ができ、失われた土の層が少しずつ戻ってくる。それにあわせて葉をえさにする昆虫が増え、動物たちが集まって、徐々に森が回復してきた。現在では、植林していない木も育っている。これは、鳥や動物によって周辺の森から種が運ばれたせいで、森は徐々に自然の力で生育する力を付けてきている。

投稿日: 木曜日 - 8 月 05, 2004 06:33 午後          


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