EU農業が発展途上国を圧迫する ★★★☆
EU農業が発展途上国を圧迫する(04年・デンマーク
DR)
NHK BS1
BS世界のドキュメンタリー
★★★☆
EU内で施行されている農業保護政策のために、発展途上国の農業が壊滅的な打撃を受けている。
EUの農業保護政策は、結果的に異常に安価な農業製品を多数生み出している。その多くは原価を割った価格で輸出されており、途上国(このドキュメンタリーではドミニカ、南アフリカの例が取り上げられている)の在来型の農業(酪農やサトウキビ栽培)は価格競争で負け(そりゃ当然だ、敵は原価割れの製品だもの)、結果的に新たな貧困を生み出している。
途上国側でも、関税をかけるなどの対策を取る(当然!)が、EUからの圧力により、保護関税政策は破棄させられることになる。高い関税をかけるならお宅の国への補助金はやめるよということらしい。ちなみにこの補助金は、各途上国の壊滅した農業のために使われているというのだからわけがわからなくなる。そんなわけで、正当な関税政策さえ破棄させられる途上国は、EUの植民地化していくことになるのだ。結果的に、途上国で職を失った人々はヨーロッパに職を求めて流れていく。ヨーロッパ諸国は移民を規制する。本当にわけのわからないことになっている。まさに悪循環。
ヨーロッパの農業保護政策は、自国の自給率維持という意味である程度理解できるが、それに対して途上国側が対策をとることまで放棄させることはあきらかに行きすぎで傲慢な大国主義である。一方が一方を収奪するのではなく対等に共存共栄をはかることがなぜできないのだろう。この構図は、グローバリズムの縮図でもある。
投稿日: 木曜日 - 12 月 16, 2004 03:15 午後