チベットサッカー 悲願の海外遠征 ★★★☆
チベットサッカー 悲願の海外遠征(03年・デンマーク
ボールズ・プロダクションズ)
NHK
BS1
BS世界のドキュメンタリー
★★★☆
独立運動を経て、中国政府に大弾圧されたチベット(政治上はチベット自治区)。現在、チベットの精神上の指導者、ダライ・ラマはインド北部に亡命し、そこで政治活動を続けている。この、政治上微妙な立場にあるチベットが、似たような環境のデンマーク・グリーンランドにサッカーの代表チームを送り親善試合を行うというプランが沸いて出た(どこから出てきたかは、このドキュメントでは紹介されていない)。
チベットのサッカー環境は劣悪で、代表の練習用のピッチ(と呼べるかどうかわからないが)もぬかるんでデコボコ、しかも練習中に家畜や人が真ん中を通行していくという有り様(ピッチが道路の一部になっているらしい)。デンマークから招かれた臨時監督も、懸命に指導するが、こればかりはいかんともしがたい。しかし代表選手たちには熱意がある。
遠征の手はずを調える段階でも、政治上微妙な立場であるということから、選手のビザがおりないとか入国許可が出ないとかさまざまな困難が出てくる。しかも中国政府からデンマーク政府に圧力までかかる有り様だ。
すったもんだのあげく、ようやく念願かない、グリーンランド対チベットの国際親善試合が始まる。
実は、グリーンランド対チベットの国際親善試合が行われどういう結果になったかというのは、別のスポーツ番組(Football
Mundialだったか)で知っていたが、数々の障害を克服しながら国際試合を実現し、しかもサッカーができる喜びを表現する選手たちに、見ているこちらも感動が湧き上がる。
たとえ環境が劣悪でプレーのレベルが低くても、プレーする喜びがある。これこそがスポーツの原点なのだ。日本の恵まれた環境でスポーツをやっている多くの人々(自分も含めて)に見て何かを感じて欲しいドキュメンタリー。そして、その恵まれた環境にあらためて感謝の念を持ってほしいものだ。
投稿日: 木曜日 - 12 月 09, 2004 09:33 午前