検証 米メディアのイラク戦争報道 ★★★☆


検証 米メディアのイラク戦争報道
(2004年・米 グローバルビジョン)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★☆

政府の不正を常に告発してきた(と少なくとも思われている)アメリカのメディアが、いかにして政府に取り込まれ、イラク戦争で大本営発表だけを垂れ流すようになったかを紹介する。
(当事国ではない)日本では、アルジャジーラ(中東ではアメリカよりと思われているそうな)の映像が紹介されたり被害者側からの報道もあったりしたが、(独立系放送局を除く)ほとんどのアメリカの放送局は、政府の立場を追随するような報道ばかりをしていたという(このドキュメンタリーでも例示されていた)。しかもフットボール中継さながらに、戦略や兵器をエンタテイメント的に紹介するだけで、戦争につきものの惨状や被害者の様子はまったくと言っていいほど報道されなかった。
番組では、アメリカの放送局がなぜこのような、その存在意義を見失った態度に走ったか、いかにしてペンタゴンがかれらを抱き込んだか、軍がジャーナリストに対して何をしたか(あるホテルを戦車で攻撃したりしたらしい。『イラクの中心でバカと叫ぶ』 でも、この攻撃は現場の目で紹介されていた)などが、証拠映像を交えて示されていく。
報道に関わる側からの反省と自戒を込めたドキュメンタリーである。このようなドキュメンタリーが作られることが、ある意味でアメリカのメディアらしいとも言える。

投稿日: 火曜日 - 1 月 25, 2005 11:04 午前          


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