政権交代への72時間 〜スペイン列車爆破テロの衝撃 ★★★


政権交代への72時間 〜スペイン列車爆破テロの衝撃
(2005年・西 ドライブテレビジョン)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★

2004年3月11日にスペインで発生した列車爆破テロと、それに伴う政権交代の顛末。
政権交代のきっかけになったのは、事故自体が原因というよりも、与党国民党のアスナール首相の対応のまずさにあったということらしい。
政府当局は当初から、反政府組織ETAの犯行と断定しており、ジャーナリストや報道機関にもそのことを通告していた。与党は、イスラム寄りの政策をとっていたため、イスラム・テロ組織の犯行とすることに躊躇したようだ。特に、選挙直前ということもあり、政策上の失策が明るみに出ることを選挙後まで伸ばしたかったのだ。イスラム・テロ組織の犯行であれば、(国民の反対が多かった)イラク派兵政策もやり玉に挙げられることになる。一方、ETAについてはこれまで政府当局も弾圧を繰り返していたため、ETAの犯行であれば、政策の正しさ(ETA=悪者という構図)を証明できることになるというわけだ。
このように政府は、当初から(自分たちの利害のために)一種の情報統制を敷こうとしていたため、これが明るみに出ると野党と国民の猛反発を買うことになる。そして、このことが明らかになったのが、選挙の直前だったのだ。かくして、与党は選挙で敗北し、政権交代を招くことになったというわけだ。
やはりこちら(日本)で伝えられていることと現地のレポートとでは温度差がある。

投稿日: 水曜日 - 3 月 23, 2005 09:01 午前          


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