アメリカの激安商法 〜巨大スーパーは何をもたらすか〜 ★★★☆


アメリカの激安商法 〜巨大スーパーは何をもたらすか〜
(2004年・米 WGBH)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★☆

アメリカの激安スーパー、ウォルマートがアメリカの社会にもたらした災厄について報告するドキュメンタリー。
ウォルマートは、多様な商品を低価格で販売するという戦略で90年代急成長したが、一方で製造業界に超低価格を強いることによってさまざまなメーカーを破壊してきた。「店に置いてやるからこちらで設定する価格にしろ、従わなければ店から排除する」というやり方らしい。結局、この無理難題ともいえる価格を受け入れなかった企業は、巨大スーパーチェーン、ウォルマートから排除され、売り上げが大幅にダウンするということになる(そのせいで買収された企業、工場を閉鎖した企業もある。しかも買収された企業というのは高品質の商品を作ることで高い評価を得ていた企業だ)。
当然のことながら、ウォルマートは中国製品に目を向けることになる。そして、超低価格の中国製品がウォルマートに入ることで、米国産の製品がますます駆逐されていくのだ。こうして、価格だけでなく米国内の産業も破壊され、ひいては市民の職も奪われることになる。これは日本の「価格破壊」の状況ともよく似ている。
このドキュメンタリーでは、米国産業に対してウォルマートがどのような(否定的な)役割を果たしたか紹介しており、その主張は明快。米CBSの「60 minutes」を彷彿とさせるようなリズミカルな演出も心地良い。なかなかの佳作である。

投稿日: 月曜日 - 3 月 07, 2005 11:30 午後          


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