金曜日 - 12 月 16, 2005渥美清の泣いてたまるか その一言が言えない ★★★渥美清の泣いてたまるか その一言が言えない(1966年・TBS)
監督:中川晴之助 脚本:橋本忍 出演:渥美清、佐藤オリエ、松本克平、永井智雄、東野英治郎、 ★★★ 1話完結のドラマ、『渥美清の泣いてたまるか』の第23回で、橋本忍が脚本を書いたもの。橋本忍得意の法廷劇。
元警官のタクシー運転手が、ヤクザに絡まれドスで脅されて、もめているうちに逆に刺して死なせてしまうというストーリー。周囲の警察、検察、弁護士は、皆口々に正当防衛を主張するが、殺意があったことを当人だけが訴える。 法廷劇でスリリングなところもあるが、最後までなんだかはっきりしないドラマだった。面白いことは面白い。佐藤オリエが若くて可愛い。 木曜日 - 12 月 15, 20053人家族(1)〜(26) ★★★☆3人家族(1968年・TBS)
監督:川頭義郎他 脚本:山田太一 出演:竹脇無我、栗原小巻、あおい輝彦、沢田雅美、三島雅夫、賀原夏子、中谷一郎、菅井きん ★★★☆ 懐かしのドラマ『3人家族』が再放送されたので、全編通して見てみた。
なんせ40年近く前のドラマで、放送時、私はまだ幼児だったので、まったく記憶にない。同じ『木下恵介アワー』で、この後、似たキャスティングで放送された『二人の世界』はわずかに憶えている。 山田太一が単独で書いた長編ドラマ第1号らしいが、新人とは思えないほどよくまとまっている。話自体は大した起伏もないホームドラマなのだが、見るときに緊張感を強いられることがない、ほのぼのしたドラマで、やたらくだらない大事件が起こる最近のドラマよりも新鮮で面白い。出てくる人もおおむね善良である。予定調和な感もなきにしもあらずだが、今でも、こういった楽しく優しいエンタテイメントがあっても良いんじゃないかと思う。 竹脇無我がクールな会社人間を好演している。あおい輝彦は善良な受験生、栗原小巻は清純で華麗なOLというふうに、それぞれの登場人物で性格の描きわけがはっきりしていて、親近感を感じる。今風に言うなら、「キャラクターがたっている」ということか。最終回の終わりの方で、ほとんどの主要登場人物が一堂に会する場面があり、山田ドラマはこのころから大団円で終わっていたんだなあとあらためて感心した。 日曜日 - 12 月 11, 2005渥美清の泣いてたまるか ああ軍歌 ★★★☆『泣いてたまるか』というドラマを今回はじめて見たが、スタッフもキャストも豪華で、内容も濃い。当時の日本映画、テレビの勢いが前面に出ていて、見応えのあるドラマになっている。
ちなみに『泣いてたまるか』は1話完結の連続ドラマで、毎回渥美清が主役をはる。演出や脚本は毎回異なり、その時点で名のある人もあるが、その後名前をあげる人たちもいて、今見ると超豪華。映画人も多数参加しているせいか、映画とテレビドラマの棲み分けが意識されているようで、非常に興味深かった。 月曜日 - 12 月 05, 2005天国の父ちゃんこんにちは ★★★☆天国の父ちゃんこんにちは(1966年・TBS)
監督:鴨下信一 原作:日比野都 脚本:小松君郎 出演:森光子、二木てるみ、松山省二、園佳也子、頭師佳孝 ★★★☆ 東芝日曜劇場のシリーズものの第1作。その後、その20まで作られることになる。
下着屋の行商をしながら、女手一つで2人の子供を育てた日比野都という女性の手記が原作らしい。 そんなわけで、細部になかなかリアリティがあって面白い。しかもめっぽう明るく前向きである。やはり66年という時代を反映しているのだろうか。 日曜日 - 12 月 04, 2005終りに見た街 ★★★☆終りに見た街(2005年・テレビ朝日)
監督:石橋冠 原作:山田太一 出演:中井貴一、木村多江、柳沢慎吾、成海璃子、成田翔吾、窪塚俊介、柳葉敏郎、津川雅彦、柄本明、小林桂樹 ★★★☆ 1982年に放送した単発ドラマ(細川俊之、なべおさみ、樹木希林、中村晃子ら出演)のリメイクらしい。『終りに見た街』は山田太一の小説かと思っていた。
平成17年から昭和19年の東京へ家ごとタイムスリップするというストーリーを知ったとき、おいおい、タイムスリップかよ!と思った。タイムスリップネタは確かに作る方は面白いのだろうが、なぜタイムスリップしたかという意味づけがきちんとされないと、リアリティがなくしらけてしまう。もちろんそれでも、タイムスリップした後の現代と過去(または未来)のぶつかり合いが面白ければそれはそれで面白くなるのだが、このドラマは、正直そういった面白さもあまりなく、現代人が第二次大戦のさなかに投げ出されたらどうなるかという程度のものだ。戦時ドラマと対して変わりゃあしない。で、つまらんなあと思いながら見ていた……しまいの方までは。 <ここからネタバレ注意> が、最後のオチはなかなか秀逸であった。あ、なーるほどという感じだ。現代の東京に原爆が落ち、主人公の清水要治が片腕をなくして瓦礫の中に横たわっていた。つまりそれまでの話は、清水要治の妄想だったという……ま、あれですな、W. ゴールディングの『ピンチャーマーチン』やA. ビアスの『アウルクリーク橋の出来事』、映画で言えばロベール・アンリコ監督の『フクロウの河』(ビアスの原作の映画化)と同じ落とし方なわけだ。安直なタイムスリップネタではなかったということだ。こういうネタは終わりよければすべてよしで、インパクトだけ残して終わるという劇的な効果が望める。このドラマも、見終わった後の衝撃がなかなか良かった。さすが山田太一。 木曜日 - 11 月 03, 2005早春スケッチブック(1)〜(12) ★★★☆(1)〜(2)
山田太一脚本の83年の話題作で、山田太一の人気がピークだった時代に書かれたもの。 今回見たのはほんの序盤(1、2/12)ではあるが、同時期に放送された『岸辺のアルバム』や『沿線地図』などと舞台設定がきわめて似ている。大学受験生を取り巻く一家の話で、その受験生の視点から家族や社会が描かれるというあんばいだ。突然出会った美人に振り回されるというストーリーも共通だ。これから展開が変わってくるということ(私はまだ詳しく知らないが、どうやら「死」を扱っているらしい)で、他のものとは違ったテーマを突きつけてくるのだろう(『岸辺のアルバム』も『沿線地図』も、舞台設定は似ているが、テーマはまったく違っていてそれぞれで強烈なインパクトがあった)。今後の展開に期待。 (3)〜(6) いよいよ佳境に入り、登場人物同士のぶつかり合いが出てきた。山崎努がなかなか怪演している。ドラマ自体は少し地味目かな。 最後は(山田太一の定石通り)やっぱり大団円で終わるんだろうなあ……などと考えながら見ていた。 (7)〜(12) そしていよいよクライマックス。やはり大団円で終わった。話自体の展開は確かにおもしろいが、あまり強烈なインパクトはなかった。当時のフジテレビの山田ドラマに共通する特徴。当時のものはNHKとTBSのものが良かった。「死」というテーマも、あくまでも見送る側の視点で終始しており、それを超えることはなかった(まあ致し方ないが)。そのため、「死」がひしひしと迫って来るという感覚はあまり持てなかった。やはりこれも、波風が起きた家族のドラマとして見るのが正しいのだろう。 こういった多少の物足りなさは、もちろん「山田太一が書いたドラマ」という先入観があるから感じるのであって、もし他の人がこの話を作っていれば、最高レベルの評価を与えるところだ。あらためて言うまでもないが、このドラマの水準は高い。 火曜日 - 10 月 18, 2005悪魔のようなあいつ(1)(2) ★★☆悪魔のようなあいつ(1975年・TBS)
監督:久世光彦 原作:阿久悠、上村一夫 脚本: 長谷川和彦 出演:沢田研二、藤竜也、若山富三郎、荒木一郎、大楠道代、谷口世津、三木聖子、ディック・ミネ、悠木千帆 ★★☆ 三億円事件を題材にした沢田研二主役のドラマで、スタッフもキャストも超豪華。
大道具、小道具もやけに凝りまくっているが、やり過ぎで今見ると恥ずかしい。当時の流行か。松田優作の『探偵物語』なんかでもずいぶん凝りまくっていた、そういえば。リアリティも何もない。ジュリーや藤竜也の演技もずいぶんすかしている。シーンの設定もちょっと無理がある。若山富三郎扮する刑事が、とあるクラブで、大勢の客を前にして三億円事件についてライブ説教するなんざあ、無理にも程があるってもんだ。 一番の目的は三木聖子だったが、1回目も2回目も1カットずつしか出ていなかった。 参考ホームページ: 『悪魔のようなあいつ - 全話解説』 『悪魔のようなあいつ』 土曜日 - 10 月 15, 2005いくつかの夜 ★★★☆いくつかの夜(2005年・CBC)
監督:山本恵三 脚本: 山田太一 出演:緒方拳、鶴田真由、内田朝陽、仁藤優子 ★★★☆ 2005年芸術祭参加作品だそうな。芸術祭に出品するときぐらいしか、山田太一の出番がないというのが寂しい限りだ。しかも土曜日の午後の放送ときている。かつては、ドラマの看板だったのにね、山田太一。
1時間24分枠のドラマだが、正味1時間10分ほどか。で、ストーリーも、シナリオ・コンクール(大体1時間ものが多い)の入選作のように、安直でひねりがなかった。老境を迎えた男に白馬の王女様(こんな言葉はないが)が登場するという話で、ストーリー自体はリアリティを欠いている。ただし、そこは山田太一。このドラマを見ている限りでは、リアリティが気になることはあまりない。うまいのだ。台詞も、山田調ではあるが、うまい。主要な登場人物が集まってくる場所を設けてしまうなど、山田太一脚本独特の展開を見せるが、それもワンパターンというようなものではなく、見ていてもなかなか心地良く、思わずこれもありかなと思ってしまう。市川團十郎の「にらみ」みたいなものか(< 吉例)。ちょっと職人芸を感じさせる。 最後の落とし方もなかなか心地良い。やはり名人芸だ。 だが見終わってから、「それにしてもストーリーがこれじゃあね」という気になった。1時間(ちょっとの)ドラマだからしようがない面もあるが……。要は、放送局が山田太一にこの程度のドラマしか書かせなくなったというのが問題なのだろう。 参考リンク: 「いくつかの夜」ファンサイト 水曜日 - 9 月 21, 2005北の夢 ★★★☆92年にTBSで放送された1時間40分の単発ドラマだが、映画並みに完成度が高い。とは言え、なかなか再放送されないドラマであるため、あまり人の目に触れることはないだろう。もったいない。Mottainai。
山田洋次のオリジナル脚本らしいが、「遙かなる山の呼び声」の焼き直しみたいな内容(かな? この映画見てないので)。ストーリーはともかく、善人ばかりが出てきて心温まる。それになんといっても、田中好子が抜群に魅力的だ。田中好子が出演したものの中では最高ではないだろうか。田中好子のプロモーション・ビデオと言っても良いくらいだ。1956年生まれだから、田中好子、36歳のときだ。「実にい〜〜い女」の田中好子が拝める。私はCSで見たが、地上波で再放送できないものなのだろうか。惜しい。Mottainai(by マータイさん)。 |