文盲 アゴタ・クリストフ自伝 ★★★☆


文盲 アゴタ・クリストフ自伝
アゴタ・クリストフ著、堀茂樹訳
白水社
総合:★★★☆
意外性:★★★☆、読みやすさ:★★★★、娯楽性:★★★☆、普遍性:★★★☆、訴求力:★★★☆

『悪童日記』で有名な(らしい)ハンガリー人の作家、アゴタ・クリストフの自伝的エッセイ集。
ハンガリー時代の貧しい幼年時代、亡命による移民生活、作家になるまでの過程などが平易な文章でつづられている。
子供時代、一種の活字中毒者だった著者が、スイスに亡命することになり、活字(フランス語)がいっさい読めない生活を送らざるを得なくなった(つまり文盲になったわけだ)など、その波乱万丈な生き方に驚きもし、それを糧とした生き方に感心しもする。
『悪童日記』を超える作品を書けなくなったために新作を発表しなくなった(「訳者あとがき」より)という潔さにも敬服する。

投稿日: 月曜日 - 5 月 01, 2006 01:38 午後          


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