人はなぜ恋に落ちるのか? ★★★☆


人はなぜ恋に落ちるのか? — 恋と愛情と性欲の脳科学
ヘレン・E・フィッシャー著、大野晶子訳
ソニーマガジンズ
総合:★★★☆
意外性:★★★☆、読みやすさ:★★☆、娯楽性:★★★☆、普遍性:★★★☆、訴求力:★★★☆

恋愛活動によって脳内がどのように反応しているか、生化学的に解明を試みる本。
かつて、脳内化学物質の所在が明らかになってきたとき(1980年代中ごろ)に、『ケミストリー・オブ・ラブ』(恋愛の際に分泌される脳内化学物質について解明した本)という本を読んで、非常に感心したというか目からうろこが落ちた記憶があるが、この本も同様の方向性を持っている。ただ、この本では、生化学よりも自然人類学的なアプローチが多く、その辺は少し辟易した(著者が人類学者だから仕方ないが)。
「男は原始時代から狩猟をして……」などという記述が出てくると、「そのあたりから検証した方がいいんでないかい」と思ってしまう。こういった自然人類学的なアプローチはほとんどが独断だと感じられる。
また、さまざまな化学物質が唐突に紹介されて、わけがわからない箇所がいくつかあった。そういう意味で非常に読みづらい本であった。
とは言うものの、脳内化学物質についてよくまとめられており、こういう分野の概要を把握する上では良い本かも知れない。

投稿日: 金曜日 - 6 月 23, 2006 05:20 午後          


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