食品の裏側 ★★★★


食品の裏側
安部司著
東洋経済新報社
総合:★★★★
意外性:★★★★、読みやすさ:★★★★☆、娯楽性:★★★☆、訴求力:★★★★

食品添加物の元営業担当者が、食品添加物利用の現状について紹介し、同時に告発する話題の書。
非常に読みやすく(1〜2時間もあれば読める)、また構成がよく練られており、内容もおもしろい。さすが元トップセールスマン! 思わずセールス・トークに乗せられそう。
著者は、食品添加物を完全に否定するのではなく、その利点について認めながらも(基本的には食品添加物は極力排除すべきだというスタンスである)、デタラメに乱用されている現状について警鐘を鳴らしている。
著者はあちこちで添加物の講演を行っているらしく、それも非常におもしろいということだ(知人の参加者の話)。講演の場では、白い粉(食品添加物)を何種類か混ぜて豚骨スープの味を作るという実演をやるらしく、参加者の間で驚嘆の声が上がるらしい(本書にもそのあたりについて記述がある)。今一般的に売られている食品のほとんどは大体それに近いものだ。ニセモノ食品を何の説明もなく与えられている消費者は、まさに家畜同然。せめてどういうものを使っているか食品メーカーは説明する義務があると思うんだが(それは本書の主張でもある)。
ここで書かれていることの多くは他の本や雑誌でもよく取り上げられているが、それでも話の展開が秀逸でなおかつ説得力がある(なんせ現場で売っていたんだから)ので、これまでの多くの添加物告発本とは一線を画す出来になっている。添加物入門書として格好の一冊。これを読んだらコンビニ弁当を食べられなくなる……かも。

投稿日: 水曜日 - 12 月 20, 2006 09:52 午前          


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