水曜日 - 3 月 29, 2006
吉田喜重が語る
小津さんの映画 ★★☆
吉田喜重が語る
小津さんの映画
(1994年・NHK)
構成・演出:吉田喜重
NHK
プライム10
総合:★★☆
意外性:★★☆、映像:★★、娯楽性:★★☆、完成度:★★★、訴求力:★★☆
小津安二郎がほとんど唯一ひどくからんだという映画監督、吉田喜重が小津安二郎の映画について語るドキュメンタリー。
だが内容は小津映画を断片的に流しそれについて語るだけというもので、あまり面白味がない。小津映画の特徴として「反復とずれ」を挙げているが、これとてもあまり説得力がない。期待はずれだった。
投稿時刻: 08:27 午後
日曜日 - 3 月 26, 2006
巨樹
生命の不思議 ★★★
巨樹 生命の不思議
〜緑の魔境・和賀山塊〜
NHK総合
NHKスペシャル
総合:★★★
意外性:★★★、映像:★★★☆、娯楽性:★★★、完成度:★★★、訴求力:★★★
東北の和賀山塊の巨樹を紹介するドキュメンタリー。長期にわたる定点撮影や、季節ごとの映像をディゾルブでつなぐなど、なかなか凝った美しい映像が続くのだが、もう一つインパクトがない。
樹木同士の争いや、巨樹が生き抜くための営みなど、目新しく面白い事象も紹介されている。だが、もう一つインパクトがないんだな……。なんとなく環境ビデオになりさがってしまったような印象がある。
投稿時刻: 05:54 午後
木曜日 - 3 月 23, 2006
大森林の小さな家 ★★★☆
大森林の小さな家
〜熊野・野尻さん一家の十年〜
NHK教育
ETV特集
総合:★★★☆
意外性:★★★☆、映像:★★★☆、娯楽性:★★★、完成度:★★★☆、訴求力:★★★☆
件のヒルズ関係の人々とはまったく違って、地に足の付いた生き方をしている一市民の家族史を紹介するドキュメンタリー。
父の後を継いで、植林山の管理をしながら、熊野の山奥で家族とともに自然な暮らしを営む野尻皇紀(のじりたかのり)さんの10年間を紹介する。植林山を所有する東京の会社に勤務するという形で、その山を管理しながら、養蜂をやったり猟をやったり魚を捕ったりして自然と解け合った生活をしていた野尻さん……会社によるリストラなどを経験しながらも、親から受け継いだ生活経験(養蜂や漁など)を子どもたちに引き継ぎながら、悠久の自然で生きていく。
この野尻さん、日本ミツバチを飼っていて年に1回蜂蜜を収穫しているが、昨年は一升瓶50本分ほど集まったらしく、これを売れば1本2万円前後で取引されるらしい。しかし野尻さんは、これを売ったりせず、すべて知人や親戚に分けるという。「売ってしまったら2万円にしかならない。人にあげて喜んでもらったらこっちも気持ちいいから」というのが彼の弁である。
歴史に培われた文化や習慣が持つ力強さの前では、拝金主義なんかどこかに消し飛んでしまいそうだ。
投稿時刻: 04:21 午後
水曜日 - 3 月 22, 2006
ホリエモン
虚飾の膨張 ★★★☆
ホリエモン
虚飾の膨張
NHK総合
NHKスペシャル
総合:★★★☆
意外性:★★★、映像:★★☆、娯楽性:★★★、完成度:★★★☆、訴求力:★★★☆
一連のライブドア騒動をまとめたドキュメンタリー。わかりやすくまとめられていた。
こうしてまとめられているものを見ると、あの騒動自体、先のバブルみたいなものだったんだなと思う。ホリエ・バブルに群がって浮かれ騒いでいた人々の狂想曲。バブルのときもそうだったが、私にゃまったく関係のない世界である。
「政財マスコミがこぞってホリエ氏を祭り上げていた」というような表現があったが、お前んとこ(NHK)も同罪だろうがと突っ込みを入れたくなった。
投稿時刻: 04:04 午後
金曜日 - 2 月 17, 2006
なぜアメリカは戦うのか ★★★★
なぜアメリカは戦うのか
(2004年・米
シャーロット・ストリート・フィルムズ)
NHK
ハイビジョン特集
総合:★★★★
意外性:★★★☆、映像:★★★、娯楽性:★★★☆、完成度:★★★★、訴求力:★★★★
アメリカ合衆国政府内で軍産複合体が力を持ちつつあることはよく知られていることだ。そしてこういった軍事産業がその売り上げを伸ばす上で欠かせないのが戦争だ。軍産複合体に支配されたアメリカは、方々で戦争を起こして、軍事産業に需要をもたらしている(イラク戦争もその一環)。軍事産業側も要職に人を送り込んだり取り込んだりすることで、政策決定に介入する。市民の税金はこうして軍事産業に流れていくことになる。
ベンジャミン・ミルフォードは日本を称して「泥棒国家」と言ったが、どうしてどうしてアメリカも立派な「泥棒国家」ですがな。しかも海外の人々の犠牲の上に成り立っているときている。汚職も日本とはスケールが違うようで、そのあたりもこの番組で紹介されていた(チェイニー副大統領とハリバートンの関係など)。
噂レベルでいろいろ言われていることをわかりやすくまとめ、現代アメリカにとっての戦争がどういう意味合いを持つか的確に指摘している優れたドキュメンタリーだ。
番組内で「米国内ではこれまでずっと民主主義と資本主義がせめぎ合ってきており、民主主義が優位だった時代もあるにはあったが、現在では資本主義が完全に力を持っている」というようなコメントがあった。一般的に「民主主義=資本主義」と考えられがちであるが、なかなか新しい視点で、目から鱗が落ちるような議論である。このドキュメンタリーの主張に従えば、「資本主義」が政府、議会、シンクタンクをすべて取り込んでしまったということになる。
今の日本も「小アメリカ」というような状況にある(当然と言えば当然だが)と感じさせられた1時間半だった。
サンダンス映画祭グランプリ(アメリカ・ドキュメンタリー部門)受賞
投稿時刻: 06:14 午後
土曜日 - 1 月 28, 2006
舞妓の見る夢
〜心のふるさとを求めて〜 ★★★
舞妓の見る夢
〜心のふるさとを求めて〜
(2005年・フジテレビ)
フジテレビ
ザ・ノンフィクション
総合:★★★
意外性:★★☆、映像:★★★、娯楽性:★★★、完成度:★★★、訴求力:★★☆
京都上七軒の舞妓になった2人の若者(勝也と勝江)の人生を追う。そこそこ楽しめるが、意外性はほとんどない。ほのぼのとしたドキュメンタリーに仕上がっていた。
NHKの人間ドキュメントみたいな……。
彼女たちが入った置屋が舞妓を大切にしていたことが、少々意外だった。上七軒だからか、それともこの置屋だからかはよくわからないが、ともかく、良い置屋に巡り会えて良かったねってなもんだ。
他に先斗町の姉妹舞妓も少しだが出てくる。
投稿時刻: 10:48 午後
日曜日 - 1 月 15, 2006
チェチェン紛争
市民の証言 ★★★
チェチェン紛争
市民の証言
(2005年・NHK)
NHK
BS1
BSドキュメンタリー
総合:★★★
意外性:★★★☆、映像:★★★、娯楽性:★★☆、完成度:★★★、訴求力:★★★☆
1994年からの第1次と第2次のチェチェン紛争で、チェチェン人がロシア軍によってどれほどひどい仕打ちを受けたか明かすドキュメンタリー。
爆撃や砲撃は言うに及ばず、兵士レベルで市民を拉致したり拷問したり殺害したりということが総統頻繁に行われていた(いる?)らしい。現在もロシア兵が駐留しており、そのために被害にあった市民やその家族もあまり公にできないという。報復が恐ろしいから。
レイプされて殺された女性や、家に押し入ってきたロシア兵から蜂の巣にされた農民など、ものすごい事例が紹介されていた。
さまざまな人権団体がこれまで告発してきていたが、このたびヨーロッパ人権裁判所でその人権侵害が公式に認められ、国際世論も本格的に動き出した。
だが、こういう現実があれば、モスクワでのテロなども合点がいく。チェチェン市民が大国ロシアに対抗する方法が他にあるか……ということだ。方法には問題があるが、ある意味でこれはレジスタンスである。そして、これはイラクやアフガニスタンで行われていることとまったく同じである。大国の暴力は新たな暴力を生み出すだけだということがよくわかる。
見せ方という点では平凡だが、チェチェンの現実を公にするという点で意義のあるドキュメンタリーであった。
投稿時刻: 07:47 午後