日曜日 - 11 月 19, 2006

赤い運命(1)、(2) ★★


赤い運命(2005年・TBS)
監督:国本雅広
脚本:関えり香
出演:綾瀬はるか、船越英一郎、榎木孝明、佐藤千亜妃、紺野美沙子、麻生祐未
総合:★★☆
意外性:★★、映像:★★、娯楽性:★★☆、完成度:★★、訴求力:★★☆
1976年にTBSで放送された『赤い運命』のリメイク。
ストーリーのいい加減さ、演出の拙さ、面白味のなさばかりが目立つ。最初の『赤い運命』のストーリーがいかにでたらめであったかがあらためてわかる。前の『赤い運命』では、三国連太郎の鬼気迫る演技と山口百恵の存在感があったためにあまり目に付かなかったが。しかも、この新版では当時の時代設定もそのまま移し替えるという荒技(つまり全体の話を回想にしているのだ)までやっていて、あまりに安直すぎる。もう少し工夫したらどうだと製作者側に言いたいところだ。
このドラマで唯一の見所は、綾瀬はるか演ずる「直子」のけなげさである。山口百恵が演じたあの(ある意味デタラメな)役をこなせる若手女優は彼女しかいないのではないかというくらいの存在感を見せる。綾瀬はるかが出ない部分は飛ばしたいという葛藤と戦いながらしっかり最後まで見たが、さすがにこの後((3)まであります)は見る元気がなかった。
なんでもかんでもリメイクするのはそろそろやめにした方が良いんじゃないですか > テレビ関係の人。

投稿時刻: 04:13 午後    

金曜日 - 11 月 17, 2006

ヒカルの碁(1)〜(76) ★★★★


ヒカルの碁(2001年・テレビ東京)
監督:西沢晋
原作:ほったゆみ、小畑健
出演:川上とも子、千葉進歩、小林沙苗、かかずゆみ
総合:★★★★
意外性:★★★☆、映像:★★★、娯楽性:★★★★☆、完成度:★★★★、訴求力:★★★★
2001年に放送されて、子どもたちの間に囲碁ブームを巻き起こしたというアニメ。アニメだからといって侮れない。ストーリー構成がしっかりしていて、それぞれの登場人物が魅力的である。アニメにありがちな向上心や闘争心だけでなく、人との出会いと別れなども盛り込まれて、大人も十分楽しめる奥深さがある。囲碁の素人である主人公、進藤ヒカルが囲碁界に飛び込んでいくという設定なので、見る側が囲碁界についてよく知らなくても、随時回りの登場人物から(ドラマ上はヒカルに対してだが)説明される。この辺もなかなかうまい。原作も少し読んでみたが、かなり原作を忠実に動画化している。その点からも製作者側の見識の高さが窺われる。良いものには過剰に手を加える必要はない。
ちなみに、このアニメ、最初は私一人で見ていたのだが、そのうち子どもたちが見るようになり、やがて妻、その後母も見るようになった。何という求心力だ。

投稿時刻: 04:12 午後    

水曜日 - 11 月 15, 2006

センセイの鞄 ★★☆


センセイの鞄(2003年・WOWWOW)
監督:久世光彦
原作:川上弘美
脚本:筒井ともみ
出演:小泉今日子、柄本明、樹木希林、竹中直人、モト冬樹
総合:★★☆
意外性:★★、映像:★★☆、娯楽性:★★☆、完成度:★★★、訴求力:★★
「第40回ギャラクシー賞選奨受賞、芸術祭優秀賞受賞」ということだが、この程度のドラマが高い評価を受けること自体が、逆に現在のドラマの貧困さを物語っている。
スタッフが力を入れて作っているのは伝わるが、ストーリーは陳腐だし、たいして面白味もない。あざとさだけが目に付く。つまらんから途中で見るのをやめた(翌日続きを見たけど、やっぱりつまらんかった)。

投稿時刻: 04:11 午後    

火曜日 - 9 月 26, 2006

友だち(1)〜(6) ★★★


友だち(1987年・NHK)
監督:深町幸男他
脚本:山田太一
出演:倍賞千恵子、河原崎長一郎、井川比佐志、菅井きん、うつみ宮土理、小松政夫、下条正巳
総合:★★★
意外性:★★★、映像:★★☆、娯楽性:★★★、完成度:★★★☆、訴求力:★★★
山田太一らしくうまくまとめられたドラマ。夫婦間の嫉妬や不倫を軽妙に扱っている。キャスティングが抜群で、おそらくキャストを想定して書かれたシナリオなんだろう。
内容は少しまだるっこしく、平凡なドラマになってしまっている。だが相変わらず山田太一らしく、視聴者に対する厳しい問いかけはある。

投稿時刻: 04:04 午後    

水曜日 - 9 月 20, 2006

夕暮れて(1)〜(6) ★★★


夕暮れて(1983年・NHK)
監督:深町幸男他
脚本:山田太一
出演:岸恵子、佐藤慶、笠智衆、佐藤浩市、米倉斉加年、真野あずさ
総合:★★★
意外性:★★★☆、映像:★★☆、娯楽性:★★★、完成度:★★★、訴求力:★★★☆
83年の初放送時にも見たので、今回で二度目ということになる。テーマ曲の「メモリーズ・オブ・ユー」が印象的である(であった)。
既婚女性の恋愛、つまり不倫がテーマで、だんだん気持ちが進展していくさまがスリリングである。こういうテーマを、この頃山田太一はよく扱っていたが、こういうものが流行りだったのか、それとも単に制作側の好みか。
不倫が息子にばれるシーンは結構インパクトがあって、その状況をはっきり憶えていたが、結末についてはまったく記憶になかった。ちょっときれいにまとめすぎているかなというきらいはある。
恋愛なんていくつになってもあるいは既婚者でもしていいとは思っているが、たとえドラマや映画クラスであっても、端で見るとあまり美しくないよなーと思ってしまう。このドラマでもご多分に漏れず(岸恵子が主演であっても)だ。もう少しきれいに描けないものだろうか。

投稿時刻: 04:03 午後    

金曜日 - 3 月 10, 2006

思い橋(1)〜(26) ★★★


思い橋(1973年・TBS)
監督:中村登他
脚本:高橋玄洋
出演:松坂慶子、上村香子、淡島千景、藤岡弘、仲雅美、花沢徳衛、望月真理子
総合:★★★
意外性:★★★、映像:★★、娯楽性:★★★、完成度:★★☆、訴求力:★★☆
秩父の老舗旅館に突如現れた手ぶらの泊まり客。何をするともなく長逗留する。不審に思う旅館の人々。やがて彼が買収のために訪れた旅行チェーン会社のエージェントであることが判明する……と、このあたりのストーリー展開はなかなかスリリングで面白いが、旅館の美人姉妹との恋愛問題に収束するあたりは、ちょっと残念な気がする。それに結局、この恋愛問題にしても、なるようになるという終わり方でこちらももの足りない。もう少しストーリーを絞り込んだら傑作になっただろうに……惜しい。
とは言え、やはりこの時代のドラマは、なかなか見応えがあって、それなりに最後まで見る側を引っ張り続ける。どの登場人物もなかなか善人で、謎の泊まり客である北(藤岡弘)がもっとひどい人間であれば別の展開になったんだろうが、彼も結局のところ善人であった。あまり緊張感を強いられることもない。
藤岡弘は、仮面ライダーの出演が終わった直後だったらしく、出で立ちも演技も仮面ライダーの「本郷猛」のままだった。林の中を一人で歩くシーンがあったが、どうもショッカーの戦闘員が飛び出てきそうな雰囲気があり、そういうあたりで少し緊張を強いられた(笑)。
全体に必要以上にコミカルな調子を盛り込もうという演出があり少ししらけてしまうが、まあこれも時代と思えば割り切ることができる……ようなできないような……。

投稿時刻: 08:08 午後    

土曜日 - 2 月 18, 2006

新・細うで繁盛記 ★★★☆


新・細うで繁盛記(2004年・フジテレビ)
原作:花登筺
監督:赤羽博
脚本:さとうしょう
出演:沢口靖子、星由里子、荻野目慶子、勝村政信、松村雄基、大村崑
総合:★★★☆
意外性:★★★、映像:★★☆、娯楽性:★★★★、完成度:★★★、訴求力:★★★☆
71年に読売テレビで放送された『細うで繁盛記』を2時間にまとめたリメイク作品。やはり花登筺の話は面白い。ただ、全体的に戯画的で、そこが気になると言えば気になる。演出もオーバーアクトだし……かなり(演出サイドの意図的なものだと思う)。
沢口靖子は、なかなかその実力を発揮していて、好演。大村崑が番頭を演じており、これは読売テレビ版と同じ。前の放送を見た人にはうれしい配慮だ(私ゃほとんどみてないけど。でも花登筺といえば崑ちゃんというイメージはあった)。新珠三千代(読売テレビ版の主役)も写真で登場ときている。それに星由里子が良い役をやっている。星由里子といえば花登筺氏の元奥方(らしい。後で知った)! キャスティングが凝りまくっていてなかなか楽しい。
余談だがNHKの朝のドラマで『女は度胸』(橋田壽賀子作)という番組が15年ほど前にあったが、今思い出してみると、役回りやストーリーが『細うで繁盛記』にそっくりである。今風に言うならパクリですな……。ただし『女は度胸』はまとまりを欠いた拙いドラマだった。藤原直美と園佳也子だけが異様に存在感を見せていたが。

投稿時刻: 06:33 午後    

水曜日 - 2 月 01, 2006

たんとんとん(1)〜(26) ★★★


たんとんとん(1971年・TBS)
監督:木下恵介、川頭義郎
脚本:山田太一
出演:ミヤコ蝶々、森田健作、杉浦直樹、近藤正臣、花沢徳衛、岩崎和子、榊原るみ、松岡きっこ
総合:★★★
意外性:★★★、映像:★★、娯楽性:★★★、完成度:★★☆、訴求力:★★☆
大工の世界を扱ったドラマで、家を建てる過程の面白さはあり、ホーム・ドラマとしても楽しめる要素はあるが、全体に一貫性がなく、とりとめがない印象があった。そのため、小さいエピソードを次から次に繰りだして話を進めていくしかなく、少々冗長だった。
ミヤコ蝶々の東京言葉も非常に違和感があった。確かに大阪出身で東京に嫁いだという設定になっていて、それ自体には無理がないが、あれだけの芸達者な人が、東京言葉を話すときだけ大根役者になっている。ときどき関西弁でまくし立てるシーンが出てくるが、面目躍如という感じで非常に良い味を出していた。いっそのこと最初から最後まで関西弁中心で通した方が良かったのではないかと思う。
杉浦直樹、近藤正臣の大工というのもあまり似合わないが、見ているうちにそれなりにはまってきた。近藤正臣は、この頃では珍しく、キザでない役をやって、なかなかよくこなしている。キャストで一番の注目は、なんといっても榊原るみだ。『気になる嫁さん』(1971)や『帰ってきたウルトラマン』(1971)などでも同時期の榊原るみを見ていたが、そのときはあまり感じるところがなかった。だが、このドラマでは非常に可憐で存在感があった。
ともかく全体的にホーム・ドラマの域を超えるようなところはほとんどなく、山田太一らしさはあまりなかった。

投稿時刻: 09:45 午前    

水曜日 - 1 月 18, 2006

二人の世界(1)〜(26) ★★★★


二人の世界(1970年・TBS)
監督:木下恵介、川頭義郎
脚本:山田太一
出演:竹脇無我、栗原小巻、あおい輝彦、山内明、東野孝彦、三島雅夫、小坂一也、矢島正明(語り)
総合:★★★★
意外性:★★★☆、映像:★★☆、娯楽性:★★★☆、完成度:★★★、訴求力:★★★★
竹脇無我演じる次郎と栗原小巻演じる麗子が偶然街で出会い、恋に落ちて、やがて結婚する。
この辺は、『3人家族』(脚本:山田太一)の延長線上だ。キャストも、竹脇無我、栗原小巻、あおい輝彦と、両方で共通している。(昔のうっすらとした記憶から)そういう恋愛ドラマがずっと続くのだとばかり思っていたが、何とこのあたりのエピソードは、最初の数回で終わってしまった。
では結婚の苦労話かと思ったら、それも中盤で終わり、最終的には脱サラしてスナックを開店し、経営していくという話になっていった。
このように、このドラマは、「結婚前」、「結婚直後」、「その後」というふうに大きく3つに別れているが、平たく言うと、ある夫婦の奮闘記であり、その結婚当初の歴史をたどるドラマということになるのだろう。
「結婚前」は、なかなかよくできた恋愛ドラマで、『3人家族』を発展させたものという印象である。出会いなども『3人家族』のときよりリアルで意外性があった。
「結婚直後」で、次郎が脱サラを決意するあたりは、作者の経験が大きく反映されているようで、非常に説得力がある。脱サラ経験者の私も納得である。
そして、「その後」がこのドラマのメインであり、経営話に落ち着く。でまあこれが面白いのだ。しょせん架空の開店話なんか……という感じもあるが、自分が直接かかわっているような臨場感があり、難題も適当に(次から次へではなく)出てきて、リアリティがある。けんかしたり協力したりしながら、周囲の人々の温かい支援に励まされ感謝する。なかなか良い話である。悪人があまり出てこないのも良い。
この最後の店舗経営話を独立させ発展させて1本にしたのが、この後の『高原へいらっしゃい』(脚本:山田太一)ということになるのだろう。
山田太一の昔のドラマを見ていると、その後の山田ドラマのいろいろな要素が出てきて、たぶんあそこにつながっているのだろうという発見があり面白い。
他の初期の山田ドラマ(『たんとんとん』、『あこがれ』など)には孤児院出身者が出てくるが、この辺は『記念樹』が下敷きになっているのだろうと思われる。
正直、序盤から中盤にかけては起伏のない退屈なドラマだと思っていたのだが、見ている側を最終的に引き込んでいく手腕は、毎度ながら感心させられる。
矢島正明のナレーションは、今となっては古くささが漂うが、これも時代だと割り切れば別段気にならない。

投稿時刻: 06:28 午後    


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