竹林軒:竹林雑誌:現代演歌考1

思しきこと言はぬは、げにぞ腹ふくるる心ちしける(大宅世継)

現代演歌考 その1

コノバカタレガ節 他


 先頃行われた禅寺丸の公演より。

 禅寺丸氏は、現代演歌作家を目指す戯作者である。

禅寺丸:演歌というものがありましてね。演歌というてもテレビで歌手が歌うとる、こぶしを効かした歌謡曲のことではありません。

明治の民権運動のときに演説の一環として歌われた歌、つまり演説歌のことで、その後も世間を風刺した演歌が昭和の時代まで歌われてきました。大正期、昭和期はバイオリンを使って歌われることが多くなりました。今でも大道芸として紹介されることがありますが、後継者はほとんどいないようです。

では、ここでいくつか紹介してみたいと思います。私の新作もいくつか付け加えて披露させていただきます。

ああ金の世(「一かけ節」のメロディ)

ああ金の世や金の世や 地獄の沙汰も金次第
笑うも金よ泣くも金 一も二も金三も金
親子の仲も割くも金 夫婦の縁を切るも金
強欲非道と譏ろうが 我利我利亡者と罵ろが
痛くも痒くもあるものか 金になりさえすればよい
人の難儀や迷惑に 遠慮していちゃ身がたたぬ
    ○
ああ金の世や金の世や 希望は聖き労働の
我に手足はありながら 見えぬ鎖に繋がれて
朝から晩まで絶間なく こきつかわれて疲れ果て
人生の味よむ暇もない これが自由の動物か
(添田唖蝉坊作)

新ああ金の世

ああ金の世や金の世や 誰も彼もがカネカネで
貯金おろすも金取られ 両替するにも手数料
たかりニセ札オレオレに 学生までが手を染めて
ゴミがあふれるこの国で 何がそんなに欲しいカネ
だまされるのが悪いのと 大きな顔でうそぶくは
人の持ち物すべてこれ 自分のものに見えるゆえ
(禅寺丸作)

コノバカタレガ節(二世節)

二世ばやりの世の中で 問題起こすも二世たち
ジョン様ジュン様ジョージ様 映画オペラにアルコール
趣味は違えど通ずるは 類いまれなる凡庸さ
馬鹿の枢軸ここにあり コノバカタレガバカタレガ
    ○
親の力で大学へ 入ったまでは良いけれど
特異な趣味のこの二世 やぶれかぶれで重犯罪
親父もみ消し本邦を 離れて遠くヨーロッパ
留学したは良いけれど 右も左もわからない
ほとぼりさめて帰国して 親の力で卒業証書
二世が栄えた試しなし コノバカタレガバカタレガ
    ○
こんな映像気にくわぬ カットしろとて脅しつつ
朝もはよから何食わぬ 顔で議論のまね事を
ところがエビ様騒動で 意外なとこから明るみに
それでも知らぬ存ぜぬで 返す刀で新聞脅す
言われる悪口許すまじ その口からは罵詈雑言
カットするのはその馬鹿面じゃ コノバカタレガバカタレガ
(禅寺丸作)

次号へ続く