タカダワタル的 ★★★☆
タカダワタル的(2003年・アルタミラピクチャーズ)
監督:タナダユキ
出演:高田渡、柄本明
★★★☆
先頃死んだ高田渡を題材にしたドキュメンタリー映画。
冒頭に1970年のフォークジャンボリー出演時の映像が出てきて、若くて生意気そうでちょっとイカした(死語)姿を拝むことができる。その後出てくるのは、どっぷりアルコールに浸かった、老人然とした今の高田渡の姿だ(実際は55歳だが、55には見えないほど)。
この映画の核になるのは、下北沢、ザ・スズナリのライブ映像で、スズナリライブで始まりスズナリライブで終わる(他にも京都の拾得、大阪の春一番などのライブも織り込まれる)。ライブはさながらジャズのライブのよう(実際に坂田明のサックスも登場)で、かなり盛り上がる。高田渡の演出力の高さが発揮されており、このドキュメントを見ていると、現場に居合わせているような高揚感も得ることができる。
ライブ映像の間には、高田渡の日常を追った映像が挟まれる。ライブでも大分アルコールが入っていたが、日常でもずっと酒浸りである。ただのノンベエのジイサンだ。こういう生活をしていればろくな死に方ができなかっただろうことは断言できる。実際には公演終了後発作で死んだらしいが、本人にとっては良い死に方だったのだろうと映像を見ながらあらためて思った。
ドキュメンタリーとしてもなかなか見せ方がうまく、高田渡の人となりが余すところなく表現されている。65分間まったく飽きずに、現代の吟遊詩人、高田渡の魅力を堪能できる1本。タカダワタル的酒と歌の日々……
投稿日: 水曜日 - 10 月 26, 2005 04:32 午後