真昼の暗黒 ★★★


真昼の暗黒(1956年・現代ぷろだくしょん)
監督:今井正
原作:正木ひろし
脚本:橋本忍
出演:草薙幸二郎、松山照夫、左幸子、内藤武敏、加藤嘉、山茶花究、山村聡
★★★

冤罪をモチーフにした法廷ドラマ。当時各賞を総ナメにしたらしい。たしかに意欲的な内容ではあるが、橋本忍の脚本は、どこか『生きる』を思わせるような間延びしたところがあって、途中少し退屈した。今井正の演出も、演出過剰で、今となっては少し気恥ずかしい。法廷劇はハリウッド映画にやはり一日の長があると思った。何せリズム感があって見せ方がうまい(もっとも展開が速すぎてついていけないことも多いが)。
もちろんこの映画の価値を認めるのにはやぶさかでない(社会的にも大きな影響を与えたらしい)。
1956年当時、この映画が非常に注目を集めたにもかかわらず、いまだに冤罪は後を絶たない。嘆かわしい限りだ。

注:この映画は、1951年山口県で実際に起きた八海事件(製作当時、係争中)をモデルにしている。映画制作中、最高裁判所の圧力があるなど物議を醸し、大手映画会社も上映を拒否したらしいが、蓋を開けてみると大ヒットだったということだ。
キネマ旬報ベストテン第1位、日本映画監督賞
毎日映画コンクール日本映画賞、脚本賞、監督賞、音楽賞
ブルーリボン賞ベストテン第1位、作品賞、監督賞、音楽賞、脚本賞

投稿日: 水曜日 - 9 月 28, 2005 04:45 午後          


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