大森林の小さな家 ★★★☆


大森林の小さな家 〜熊野・野尻さん一家の十年〜
NHK教育 ETV特集
総合:★★★☆
意外性:★★★☆、映像:★★★☆、娯楽性:★★★、完成度:★★★☆、訴求力:★★★☆

件のヒルズ関係の人々とはまったく違って、地に足の付いた生き方をしている一市民の家族史を紹介するドキュメンタリー。
父の後を継いで、植林山の管理をしながら、熊野の山奥で家族とともに自然な暮らしを営む野尻皇紀(のじりたかのり)さんの10年間を紹介する。植林山を所有する東京の会社に勤務するという形で、その山を管理しながら、養蜂をやったり猟をやったり魚を捕ったりして自然と解け合った生活をしていた野尻さん……会社によるリストラなどを経験しながらも、親から受け継いだ生活経験(養蜂や漁など)を子どもたちに引き継ぎながら、悠久の自然で生きていく。
この野尻さん、日本ミツバチを飼っていて年に1回蜂蜜を収穫しているが、昨年は一升瓶50本分ほど集まったらしく、これを売れば1本2万円前後で取引されるらしい。しかし野尻さんは、これを売ったりせず、すべて知人や親戚に分けるという。「売ってしまったら2万円にしかならない。人にあげて喜んでもらったらこっちも気持ちいいから」というのが彼の弁である。
歴史に培われた文化や習慣が持つ力強さの前では、拝金主義なんかどこかに消し飛んでしまいそうだ。

投稿日: 木曜日 - 3 月 23, 2006 04:21 午後          


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