チェチェン紛争
市民の証言 ★★★
チェチェン紛争
市民の証言
(2005年・NHK)
NHK
BS1
BSドキュメンタリー
総合:★★★
意外性:★★★☆、映像:★★★、娯楽性:★★☆、完成度:★★★、訴求力:★★★☆
1994年からの第1次と第2次のチェチェン紛争で、チェチェン人がロシア軍によってどれほどひどい仕打ちを受けたか明かすドキュメンタリー。
爆撃や砲撃は言うに及ばず、兵士レベルで市民を拉致したり拷問したり殺害したりということが総統頻繁に行われていた(いる?)らしい。現在もロシア兵が駐留しており、そのために被害にあった市民やその家族もあまり公にできないという。報復が恐ろしいから。
レイプされて殺された女性や、家に押し入ってきたロシア兵から蜂の巣にされた農民など、ものすごい事例が紹介されていた。
さまざまな人権団体がこれまで告発してきていたが、このたびヨーロッパ人権裁判所でその人権侵害が公式に認められ、国際世論も本格的に動き出した。
だが、こういう現実があれば、モスクワでのテロなども合点がいく。チェチェン市民が大国ロシアに対抗する方法が他にあるか……ということだ。方法には問題があるが、ある意味でこれはレジスタンスである。そして、これはイラクやアフガニスタンで行われていることとまったく同じである。大国の暴力は新たな暴力を生み出すだけだということがよくわかる。
見せ方という点では平凡だが、チェチェンの現実を公にするという点で意義のあるドキュメンタリーであった。
投稿日: 日曜日 - 1 月 15, 2006 07:47 午後