ベルリン・フィルと子どもたち ★★★★


ベルリン・フィルと子どもたち(2004年・独)
監督:トマス・グルベ
撮影:エンリケ・サンチェス・ランチ、レネ・ダメ
音楽:マルクス・ウィンターバウアー、イゴール・ストラヴィンスキー
出演:サイモン・ラトル、ロイストン・マルドゥーム、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
総合:★★★★
意外性:★★★★、映像:★★★☆、娯楽性:★★★、完成度:★★★★、訴求力:★★★★

ベルリン・フィルの音楽監督、サイモン・ラトルが、ドイツの子どもたち250人を集めて、ベルリン・フィルと競演させるという教育プロジェクトを始めた。そのプロジェクトの一環として、ストラヴィンスキーの「春の祭典」で、子どもたちに舞踏に参加させるという計画が持ち上がり、その経過を追ったドキュメント。
目にした批評があまり良いものではなかったので期待せずに見たが、このドキュメンタリー映画は良い。
まったくの素人でしかもちょっと斜に構えている子どもたち(ほとんどが不幸な生い立ちだそうだ)が変わっていく(というより、振り付け師のロイストン・マルドゥームが、子どもたちを変えていく)様子が非常に面白い。ロイストンは独自の教育観を展開しながら、子どもたちと接していく。横で見ていた教師が途中口をはさんだりするのだが、それがステレオタイプの反応で、その対比が面白い。この映画はなんと言っても教育論の映画である。
また、ある舞台ができあがる過程を描いた映画としても秀逸である。私も以前何度か舞台に上がった(素人芝居や『第九』演奏会など)が、舞台を作り上げるまでの高揚感やとまどいが、この映画で甦ってきた。記録という観点からも優れている。
映像もなかなか良いものが多く、ドキュメンタリーでこれほどの映像を見せつける作品というのも珍しい。

投稿日: 月曜日 - 1 月 02, 2006 10:21 午前          


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