昔のドラマ
CSのTBSチャンネルで『岸辺のアルバム』を見た。『岸辺のアルバム』と言えば、1977年にTBSで放送された山田太一原作・脚本のヒット・ドラマで、濁流に流される家屋のシーン(実際に台風の濁流で流された多摩川べりの住居のニュース映像が使われていた)がなかなか衝撃的で有名である。
本放送の時はテレビで見ておらず、その後も見る機会がなかったので、チャンスがあればみたいと思っていた。そもそも本放送の時は、山田太一の名前も今ほど有名じゃなかったと思う。『岸辺のアルバム』が出世作になったのではないかと記憶しているが、どう?
小説バージョンもあり、私はこちらを読んでいたのだが、内容についてはあまり記憶には残っていなかった。やはり最後のシーンだけが印象に残っているという感じ。
しかし今回見て、テーマが非常に今日的であり、しかもいろいろな社会問題がふんだんに盛り込まれていることにあらためて感心した。まだ第1回目しか見ていないのでこれですべてを判断することはできないが、渾身の作という雰囲気が伝わってくる。
山田太一といえば日本のドラマ史でも傑出しており、しかも『岸辺のアルバム』はその中でも代表作なので、水準が高いのは言うまでもないんだろうが、ここ何日か昔のドラマを見て、どのドラマもある程度の水準が保たれていることを感じた。今回見たのは、『新橋烏森口青春篇』、『愛さずにはいられない』(ともにNHK銀河テレビ小説で放送されたもの)などだが、抜群に面白いわけではないがそこそこ楽しめ、片手間でも見ていられる。それこそテレビ・ドラマの真髄ではないか。
一方で、ここ15年ほどの日本のテレビ・ドラマのていたらくといったらどうだ。ドラマに重厚さや問題意識が欠けていてもそれが問題だとは思わないし、単に楽しみだけのドラマがあってもかまわないんだが、それ以前に、「人に見せる話」として体裁が整っていないものがあまりに多い。登場人物の性格に一貫性がないとか、ストーリーが行き当たりばったりでデタラメとか、ご都合主義とか、パクリとか……。悪いが小中学生が話を作ったんじゃないかと思うような低レベルのものが散見される。いくら素人に毛の生えたようなシナリオ・ライターが多いからといって、ちょっとひどすぎる。もうちょっと勉強したら?と感じてしまう。
それからマンガが原作になっているものが多いのも、レベル低下の原因ではないかと考えられる。マンガは、言うまでもなく、絵とストーリーをほとんど1人の作者でまかなっているわけ(原作者がいるものもあるし、アシスタントがいるのも重々承知しているが)で、ストーリー自体は全般的に質が低い。作画もストーリーもすべてに秀でている作者を求めること自体が酷というものだ。大体マンガ家を志す人は絵がうまく描ける人がほとんどで、ストーリーが大したことないとしても、マンガ家としてのキャリアにそれほどマイナスになることはないのだ(実際ストーリーは大したことがないものがほとんどだ)。マンガはある意味で総合芸術であり、そこからおそらくもっとも弱い部分であろうストーリーだけを引っ張り出してきて、それをドラマにするというのは、相当愚かしいことである。そろそろ、各テレビ局も本気でドラマを作ったらどうかと思うのである。ちゃんとしたドラマが作れないんだったら、過去の名作を(地上波で)もっと再放送するとかしたら良さそうなものだが、スポンサーの関係でそうもいかないのか。そんなわけで最近のドラマはほとんど見ていないのだ。
ドラマについては言いたいことがいろいろあるが、また別の機会にぐだぐだ言いたいと思う。今日はこのぐらいにしといたろ。
投稿日: 月曜日 - 4 月 11, 2005 08:57 午後