遙かなり 木下恵介アワー
ここ10年ほど、我が家ではケーブルテレビに加入してBS放送とCS放送を見ていたのだが、今回諸事情でいよいよやめることになった。
当ホームページのドキュメンタリー評では、(ほとんど)NHK BSで放送されたものが対象となっているが、今後どうなるかはまったくの白紙。NHK BSは見たいのだが、アナログチューナーは今売ってないしデジタルチューナーは高価だしでちょっと二の足を踏むところだ(アンテナとデジタルチューナーで6〜8万円くらいかかる)。 導入するにはBSよりもむしろCSの方が手頃。CSだとスカパー(SkyPerfecTV!)ということになるが、こちらは2〜3万円程度で導入できそうだ。たしかにCSは魅力的だが、それでもNHK BSには未練が残る……といろいろ考えながら、ネットサーフィン(<死語)していたら、CSのホームドラマチャンネルというところで、4月から約1年かけて「木下恵介アワー」を連続放送するということがわかった。 「木下恵介アワー」といえば、山田太一脚本のドラマが目白押しである。山田太一の伝説のドラマ、『二人の世界』や『3人家族』も「木下恵介アワー」だ。テレビ再放送としてはどれも今回が初めてじゃないかと思う。私は山田太一のドラマを非常に高くかっているので、彼の初期の作品が放送されると聞いてはいてもたってもいられない。 山田太一のドラマといえば、かつては連続ものが年中放送されていたが、最近では年に数回単発ものが放送される程度になった。ここ1、2年は単発ものでさえ放送されることが少なくなった。毒にも薬にもならない軽薄ドラマに押され、入る余地が無くなったのか(韓流ドラマって程度低すぎません?)。 山田太一のシナリオもかつては大和書房から作品集というシリーズで出版されていたが、現在ではそのすべてが絶版になっている。この作品集が出たのはヒット作『ふぞろいの林檎たち』が放送された頃で、山田人気が絶頂だったときだと思う。今でも彼のドラマの質はまったく落ちていないのだが、放送局での扱いは大分変わっている。「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉を地でいっているようでもある。 一昨年、山田太一の代表作がNHK BSでまとめて放送され、そのときにあらためて見たが、テーマの切り込みの鋭さと問題意識の高さ、それからその問題に対して独自の視点で回答を示している点など、改めてその質の高さに感心した。絶版になった山田シナリオ本を古本で買い集めるようになったのもそのころからである。 山田太一のことをいろいろ調べていると、昔(私が子どもの頃)親が一生懸命見ていたドラマがことごとく山田作品であることがわかった。『二人の世界』しかり『藍より青く』しかり『たんとんとん』しかり。だが、その初期の作品は、再放送されることなどほとんど(まったく?)ない上シナリオも出版されていないので、私のような山田ファンにとってはまさに幻の存在であった。『二人の世界』は昔見た記憶はわずかにあるのだが、内容はほとんど憶えていない。テーマ曲は憶えている。なんとなく萌え萌えだった記憶があるだけだ。それがホームドラマチャンネルで放送されるというのだ。 私は一気に熱くなり、気持ちはスカパーに大きく傾いた。この機会を逃したら一生見れないかも知れないのだ(今まで一度も放送されていないのだし)。NHK BSはとりあえず置いといてスカパーを! ドキュメンタリー評はとりあえず置いといてドラマ評を! それにスカパーのTBSチャンネルでも山田ドラマが頻繁に放送されているし(昨年は『高原へいらっしゃい!』が放送された……うーん、見たかった)。 スカパー! 何が何でもスカパー! BSはしばらく断念! しかし、最近にわかに貧困層に転落してしまった竹林庵(私のコトね)であることだし、数万円の出費もかなり痛いところだ。悩む。それにしても木下恵介アワー…… 投稿日: 土曜日 - 3 月 19, 2005 08:18 午後 |