渇水や われ泣きぬれて(はいないが)クモとたわむる←「日本ハエトリグモ研究センター」から勝手に拝借
梅雨だっちゅうのに西日本ではぜぇんぜん雨が降らない。このペースだと近々断水になりそうだ。
断水は十数年前に経験してから、ずいぶん経験していない。その頃は毎年のように水がない水がないと言っていたが、それ以降、近所で水が枯渇するという状況はあまりない。 断水の時に一番困るのは水洗便所で、前の断水経験時も水洗便所付きのアパートに住んでいたので、なかなか厄介だった。その反省から、その後くみ取り便所の家に引っ越し10年住んでいたのだが、その間、幸か不幸か断水を経験することはなかった。それで今年、越してきた先が水洗便所の家だ。確かに清潔で匂いもあまりしないが、断水するととたんに機能しなくなる。脆弱なインフラと言わざるを得ない。この調子で断水まで行くと、またまた面倒なことになる。あー憂鬱。 ちょっと前まで住んでいたくみ取りハウスは、くみ取りであるがゆえ、夏になるとショウジョウバエが便槽から大量発生して、窓なんか閉めていた日にゃ、すごいことになる。扉を開けたとたんゲッ!ってなもんだ。とりあえずいったん窓を開けて外に出てから、しばらくしてまた入ることになるのだが、それでもけっこうな量のハエがブンブンブンで、こんな中でしゃがんだりしたら身体のあっちこっちにハエがとまって、気色悪いったらありゃしない(便槽のウジからかえったヤツだからね)。そんでもって、手で振り払いながら用を足すわけだ(汚い話ですみませんね)。 さて、しゃがんでいるとき、時々手で振り払いはするが、おおむね手持ちぶさたであるため、するともなくショウジョウバエを観察したりすることがある。ショウジョウバエは、大体明るいところを好むようで(「正の走光性」っていうんでしょうか)、窓のあたりにひっついてるのが圧倒的に多い。そうすると、このハエを狙って、ハエトリグモも窓に待機しているわけだ。ハエトリグモは、時々ジャンプしたり、くるりときびすを返したりして、なかなか動作がユーモラスだ。にわかショウジョウバエ研究者と化しているこちらは、研究対象をハエトリグモに転換することになる。 ハエトリグモを見ていると、ショウジョウバエをとって食べることもあるのだが、よくよく見ていると、結構どんくさく、狙った獲物の10匹に9匹くらいは失敗している。 観察していてわかったことだが、ハエが少し離れている場所にいるときは、まったく食指を動かさない。やや近づいてくると臨戦態勢にはいるが、それでもまだ動かない。かなり近づいて、自分の身体の長さと同じくらいの距離まで近づくと、おもむろに飛びつき捕まえる。だが、それでも逃げられるケースがあり、なかなか大猟になることはないようだ。 ここで話変わって昨日のことなんだが、パソコンの液晶モニターにこのハエトリグモがくっついていたわけだ。そのとき画面に表示されていたソフトはアップルのiTunesだった。何のソフトだったかはあまり関係ないのだが、とにかく白い部分が多かったと想像していただきたい。で、このハエトリグモ、どうやら、カーソルをハエに見立てて(というか、ハエと取り違って)狙っているようなのだ。考えてみると、この液晶モニターの状況というのは、便所のサッシ窓とかなり似た状況である。背景が明るく、しかもあちこちに小さい黒いのが点在しているのだ(便所の場合はハエ、液晶の場合は文字やカーソル)。 それで試しに、マウス・カーソル(このソフトでは矢印形)をハエトリグモのそばまで持って行くと、なんと、予想に違わず、ハエトリグモはカーソルに飛びついた。こちらも少しビックリして、おもむろにカーソルをクモから遠ざけると、なんとクモはまたカーソルを狙って飛びついてくる。 今度はカーソルを、クモからかなり離れた場所に移動してみた。そうするとクモは、じっとして動かなくなった。以前便所で観察したとおりだ。近いヤツだけ狙うのだ、こやつらは。それで徐々に近づけると、再び臨戦態勢になる。少しずつ、カーソルに近づいてきて、ある程度の距離になったら飛びつく。こちらはあわててカーソルを遠ざける……と、こういう遊びをしばらくやっていたわけだ(クモと心が通じ合った瞬間……)。 かつて、WindowsのソフトでNekoというお遊びのフリー・ソフトがあった。カーソルを動かすと、それをめがけてアニメーションのネコが追っかけてきて、カーソルを捕まえるというものだった(これを延々と繰り返す)が、まあちょうどあんな感じだ。または、実際の猫の前でヒモをブラブラさせるとじゃれて飛びついてくるという状況にも似ている。 結局10分ほど遊んでいたが、クモの方もいい加減偽物だってことに気付きそうなものだが、いつまでも追っかけているので、かえって気の毒になった。餌を捕まえたつもりになっているのに実態がないというのが続いているからね。それで、モニターのスイッチを切って、そこでお開きにしたというわけだ。指をクモに近づけると、オタオタしながら消えていった。 ハエトリグモについてネットで調べたら、「そのサイズと円らな瞳のおかげで「クモは苦手だけどハエトリだけは可愛い」という人も多い」(Wikipedia)と書かれていた。「日本ハエトリグモ研究センター」などというホーム・ページまである。また、別のホーム・ページ(のこぎりくわがたの森「もへっ! ハエトリグモ」)には、液晶モニター上でカーソルを狙うクモの記述があった。この人は、マウスで遊んだとは書いていないが、ハエトリグモとNeko遊びをやったことのある人は意外に多いのかも知れない、などと思いながらも、またまたハエトリグモが液晶上に登場するのを心待ちにしている私であった…… 投稿日: 月曜日 - 6 月 27, 2005 10:10 午後 |