ワルターのブラームス1番


 


ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団演奏のブラームス交響曲第1番のCDを買った。ついに……。
というのも、このCD、20年ほど前にカセット版を買っていて、それ以来、私のブラームス1番のスタンダードになっていた。その後も名演と呼ばれるものも含めていろいろ聴いたが、どうもこれに勝るものはないのだ、私にとって。ちなみにこのワルター版だが、名盤などと呼ばれることはまずない。クラシック関連の雑誌でたまに名盤ベスト5だとか、いろいろ企画されるが、このCDが入ったことは、私の知る限りまったくない。なぜだろう、とっても良い演奏なんだがと思うのだが、入らない。おそらくは、あまり過剰な演出がなく正攻法であるためだと思う。
ベートーヴェンやブラームスの演奏は、一般的には部分部分を誇張した演奏が好まれるような気がするが、そういう演奏は臭くてかなわないと私は思っている。もっとさらっとやらんかいと思うのだが、世間はそういうちょっと恥ずかしい演奏がお好みのようだ。演奏会だと、そういう演出が多少あってもそれほど気にならないのだが、CDやレコードだとそうもいかない。生の音に圧倒されるようなことがないからだと思うが。もちろん、このCDが良いというのは私の思い入れの部分も強いので、あまり人にお勧めできるものではないのかもしれない。
ともかく、そんなわけで、いつかこのCDを買わねばなるまいと思っていたのだが、今回中古市場で見つけて、安かったこともありついに購入に踏み切ったというわけだ。カセットといえども、持っている曲をもう一度買うのはちょっと気がひけるもので、20年近くも買うのをためらっていたのはそのためだ。
で、今回本当に久しぶりに聴いてみた。正直言って多少物足りなさを感じた……。非常に丁寧な演奏ではあるが、高揚感が少し足りないというか……。特に第4楽章最後の部分なんか一気呵成に疾走するような感じだともう少し良いのだろうが。なんとなく古女房みたいな感じか。つまり、気安いんだがときめきがない。20年前に出会ったときのときめきは、もう望むべくもないのだろうか……などと感傷に浸ったのであった。
ちなみに、おまけ(?)の大学祝典序曲(大学受験ラジオ講座のあの曲です)と悲劇的序曲はなかなか良い演奏で、特に悲劇的序曲は、ワルターのを聴いたのは初めてだったがメリハリがきいていて迫力があった。

投稿日: 木曜日 - 1 月 19, 2006 09:11 午後          


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