覆面座談会その7 ライブドア事変雑感A=シニカルな後輩
B=シニカルな先輩 C=保守中道を行く自称論客 A:前に覆面座談会でライブドアのことを取り上げましたけどね、こちら>「覆面座談会 ニュース番組雑感」。やはり我々としてもライブドアについて総括しておく方が良いんじゃないかと思いましてね。
B:総括ったって、おれたちにゃ関係ない世界の話じゃないか。 C:そんなこと言っちまやぁ元も子もないわな。 B:目立ってるからスケープゴートになったという見方もあるが。 A:いや、必ずしもそうとは言えないと思いますよ。 B:正直、あのへんのカラクリがよくわからないが。 A:ややこしいですけどね、でも大したことじゃなさそうですよ。早い話がセコイということです。 B:やっぱりあの会社自体に問題があったということなんだな。 A:前も言いましたが、何をやってるかよくわからない会社ということですよ。 B:ユードラとブログだよ。それからターボリナックスも。 A:ブログはともかく、ユードラは販売代行でしょ。ターボリナックスも買収ですからね。要はコアとなる業種がないんです。 B:つまり何も生産してないということだな。 A:そうです。M&Aだけで大きくなったという……。会社が大きくなったかどうかはよくわかりませんが、要は株価が上がったということです。 B:元々はホームページ作る会社だったんだろ。 A:元々はね。でもホームページ作成会社なんて掃いて捨てるほどありますからね。要するに、上がった株価を担保にして、銀行から金を借りてM&Aを繰り返すと。それで株価がまた上がって資産価値が増える。株価を上げるために、マスコミに顔を売る。 B:広告宣伝費ゼロでね。 A:ゼロからいかにして金を増やすかということに汲々としているという印象ですね。 C:だが、いったいどこがそんなに問題なのかというのが、もうひとつピンと来ない。インサイダー取引まがいのことをやったっていうのは確かに問題だがな。株式分割だってどこでもやってるしな。粉飾決算だってなあ……良いことじゃあないがな、もちろん。 A:一番問題なのは、株価を操作で上げて、その上がった分を収益にすることが目的化していたことです。そのためには倫理的に問題があっても何だってやったるでってことで。それが結果的に、法律に引っかかることをやっていたということなんでしょう、かれらにしてみれば。 C:そうすると、意図的に悪事に手を染めていたわけではないと。Aはそう考えてるのか? A:まあ、よくわかりませんが、その可能性は十分にあります。自分たちのしていたことが悪いことだなんて思ってなかったかもしれません。でもまあ、見方を変えれば、これは詐欺です。株式分割で個人投資家というカモを増やして、かれらから金をせしめる。その手段が株価の上昇ということなんですが。株価が上がれば、当然誰かがその分を支払っているわけで、結局は他人の金をうまいことせしめているだけですよ。それでも無限に株価が上がれば出資者の懐を潤わせることもできるんでしょうが、無限に上がるなんてことはありえないんで、いつかは破綻します。このあたり、ネズミ講とよく似てますね。 B:つまり、カモになった人もプチバブルで踊った人々ということだな。やっぱり、バブルの再来を望んでいる勢力ってのは多いんだな。 C:そりゃあそうだ。東京の異常な開発ラッシュを見てみろよ。もう始まってるよ、バブルの再来。バブル2世だ。 A:そもそも、株で儲けようなんてのがね、間違いじゃないかと思うんです、僕は。 B:Cさん、株やってんだぜ。 C:……まあ、少しだが。 A:つまりこういうことです。僕が思うにですね、株式全体のパイはある程度一定ですよね。市場全体が成長すればそのパイが大きくなる。でも、今の世の中そんなに成長なんてしませんよ。そうすると、儲けとか損とかいうのはですね、一定のパイの中で奪ったり奪われたりってことですよ。言わば博打みたいなものですね。 C:そりゃあ成長しなければそうだがね。成長しそうな企業を探してそこに投資すれば、利益が還元されるからね。 B:でも、それも一種の博打だよな。来そうな銘柄を予想して金を張る……。競馬だね、こりゃ。 C:博打になるか資産運用になるかは、情報収集力と読みだと思っとるんだ。私は資産運用のつもりでやってるからね。 A:まあ、お金の余っている人は良いですが、それを職業にしようなどという大卒者がたまにテレビに出ますが、あれは大うつけだと思います。 B:確かに、自分の息子がギャンブルで身を立てるっつったら親は怒るだろうがね、普通は。 C:まあともかく、株は無茶をせんことだ。 A:でもまあ、そういう株式に対する、なんて言うんでしょうかね、好感触というか過大評価というか、そういうものが、ライブドアみたいなあだ花を生み出すわけですよ。何もないところから金だけを生み出そうとする。「錬金術」ってよく使われますけどね、今回これほどピッタリ来る表現はないですね。 B:地道に働いて人様のためになるようなことをしようっていう頭がないんだな。弱みのある人間からはむしり取って良いというね。弱肉強食だな。 C:世間がそういう風潮だからな。 A:今回のライブドア騒動を見ていると、拝金主義の汚さを思いっきり見せつけられたような気がしますね。それに今の日本政府が実現しようとしている社会が、どれほどひどい社会かというのもよくわかりますよ。汚いことを平気でできる人間だけが、いわゆる「勝ち組」になって他人のものを平然とむしり取ることができるようになるということです。 C:まあ、それはちょっとうがちすぎだな。 A:ライブドア騒動でもうひとつ付け加えさせてください。この手のことをやっている企業はおそらく他にもあるでしょう。通信大手のソ○○○○○なんかも、粉飾決算や詐欺や、いろいろ悪い噂が出てます。M&Aやなんか、ライブドアと共通することも多い。もしかしたらライブドアが、事業のモデルにしていたかもしれないと僕は密かに考えているんです。そちらの方がずっと悪質だとは思いますが、でももし地検がそちらを摘発していたら、いろいろな産業や株式市場にもっと大きな影響が出てたはずです。だから、そのソ○○○○○をはじめとする、他社に対する警告の意味もあったんではないかと思うんです、今回の強制捜査は。「おまーら、ええかげんにしとけよ」ってなもんです。 B:……要するに何かい。地検が、良識ある集団だと思ってたわけだな。 C:……なかなか……素直というか素朴というか……よろしいよろしい。 A:……そんなこと言うんだったらBさんとCさんが総括してくださいよ、ライブドア。 C:ライブドア株はこの後続落して、二束三文。取締役連中は逮捕。会社は解散ってとこじゃないの。 B:ムショから出た幹部連中はその後、拝金教を開始。教祖のH氏、教団ナンバーツーのM氏の尽力で教団は拡大、世界最大の教団を目指して奮闘する。その後、教祖は空中浮遊を体得し、六本木にサティアンを建設するってのはどう? C:だがそのサティアンは耐震基準を満たしていなかった、っていうオチだ。 A:なんですか、そりゃ。別件と混ざってんじゃないですか。ストーリー作りのブレーンストーミングやってんじゃないですから。まあ、確かに最近のマスコミ報道はオウムの場合とよく似てますがね……。ともかく、成り行きを見守りたいと思います、僕は。 投稿日: 月曜日 - 1 月 23, 2006 05:41 午後 |