「竹林軒出張所」選集:モノ
「竹林軒出張所」選集
写真日記
学生の頃、写真日記をやってみたことがある。何のことはない、要はカメラを持ち歩いて、出先で記録代わりに写真を撮っていくというだけのことで、おそらく『噂の真相』に連載していたアラーキーの(タイトルは忘れたが)写真日記に感化されたんではなかったかと思う。ジョナス・メカスという映画監督の『ロスト・ロスト・ロスト』という映画の影響もあったと思う(たしか「私はカメラ・アイになった」というような言葉がキャッチフレーズだった)。
当時、僕自身は普段持ち歩けるようなコンパクト・カメラを持っていなかったので、友達からペンタックス・オート110というカメラを借りてこれを使った。
オート110は、コンパクト・カメラといっても侮れないもので、掌サイズでありながら一眼レフという、しかも使い勝手もなかなか良く、いたく気に入ってしまった。今でも中古市場に出回っているようだが、フィルムが110サイズという特殊な形態で、フィルム自体が手に入りにくいのと、現像や焼き付けが困難になっているという事情もあり(35mmサイズのアナログフィルムでさえ難しくなっているのに)、正直言って手に入れても実用になるかはなはだ疑問である。
デジカメで似たようなものが出ればすぐにでも欲しいところだが、残念ながら一眼レフでこのサイズなんてものはいまだかつて見たことがない。ネオ一眼でも良いからどっか出してくれないものだろうかね。
そんなわけで、以前買った、パナソニックのコンパクト・カメラ(LUMIX)が非常に小さくて小回りが利くので、最近これをいつも持ち歩いている。写真日記を再現しようという魂胆である。パナソニックのLUMIXシリーズは、コンセプトや作りがしっかりしていて、機能も過不足なく申し分ない。LUMIXシリーズは、ネオ一眼といわれるものも1台持っているが、やはり重いので始終持ち歩こうという気になかなかならず、そういういきさつでコンパクトなヤツを1台追加で買ったわけだ(買ってからもう2年くらいになるでしょうか)。
当時も今もカメラにはいろいろな機能が搭載されるんだが、このLUMIXシリーズはいち早く(使い物になる)手ブレ補正を搭載したカメラで、これが非常に良い。こういう方向にカメラを発展させようとしたその先見の明に敬意を表したいくらいだ。周囲が暗くても、ストロボなしで撮れる。カメラが眼に近くなるということだ。まさに「カメラ・アイ」である。
さて、前振りが長くなったが、昨日夕焼けが非常にキレイだったので撮ってみた。しかも手持ちである(しかもやや望遠!)。シャッタースピードが1/4だったので、手持ちは普通であれば不可能であるが、手ブレ補正が働いているので、若干手ブレが出てる程度で実用範囲ではないかと思う。このカメラはファインダーがなく液晶を確認しながら撮るタイプのもので、つまり両手を伸ばした状態でシャッターを押すことになる。ファインダーを覗くタイプであれば両脇を締めて撮ることになるので、手ブレはもっと減らすことができるんではないかと思う。
三脚を持ち歩かなくても良いなどの機動性を考えれば、この手ブレ補正は非常に有用である。これで一眼(またはネオ一眼)であれば言うことないんだがね。とにかく液晶を見ながら写真を撮るというのはいただけない、絶対。
(下の2枚の写真はクリックすると若干拡大します)
2009年10月、記
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